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多角形から無限級数の世界へ ~To the infinite series world from polygon~

今日数学をしていたら英語の時間中にこんなものを導けました.


\displaystyle \sum_{k=0}^{\infty}\left(\frac{1}{2}+\frac{1}{2}\cos\left(\frac{2\pi}{n}\right)\right)^{k}=\frac{2}{\tan\left(\frac{\pi}{n}\right)\sin\left(\frac{2\pi}{n}\right)}


これはテキトーに数式をいじっていて見つけた訳でも, 神様から授けられたりした訳でもありません. きっかけはこのツイート


です. 「色塗りのパターンを利用して無限級数を見つけてみよう」という趣旨のツイート. 面白そうだと思いすぐに取り組みました.
最初は四角形ですぐに止まってしまったのですが, 正多角形の一辺を適当に定めて整理すれば良いということに気づき, あとはひたすら計算を頑張りました. それでは冒頭の式を証明していきたいと思います.




(Proof)1つ1つの三角形は相似なので, 最初に「一番外側の三角形」とそれより「一回り小さい三角形」の辺の比を求めれば次々とそれ以降の三角形の面積を求められて, 色が塗られた部分の面積を各三角形の面積の和で表すことができます.
一辺が kの正 n角形に内接する一回り大きさの小さい正 n角形の一辺の長さを xとすると, 余弦定理から


\displaystyle x=\sqrt{\frac{k^{2}}{2}\left(1+\cos\left(\frac{2\pi}{n}\right)\right)}.


「一回り小さい三角形」の一辺の長さは\displaystyle\frac{x}{2}, つまり\displaystyle \sqrt{\frac{k^{2}}{8}\left(1+\cos\left(\frac{2\pi}{n}\right)\right)}ですから, 「一番外側の三角形」と「それより一回り小さい三角形」の辺の比は


\displaystyle \sqrt{\frac{1}{2}\left(1+\cos\left(\frac{2\pi}{n}\right)\right)}


となります. これより, 色が塗られた部分の面積は


\displaystyle \frac{1}{2}\cdot\frac{k}{2}\cdot\frac{k}{2}\cdot\sin\left(\frac{2\pi}{n}\right)+\frac{1}{2}\cdot\frac{k}{2}\cdot\frac{k}{2}\cdot\sin\left(\frac{2\pi}{n}\right)\cdot\left(\frac{1}{2}\left(1+\cos\left(\frac{2\pi}{n}\right)\right)\right)+\frac{1}{2}\cdot\frac{k}{2}\cdot\frac{k}{2}\cdot\sin\left(\frac{2\pi}{n}\right)\cdot\left(\frac{1}{2}\left(1+\cos\left(\frac{2\pi}{n}\right)\right)\right)^{2}+\cdots


となります. 一方で, 一辺の長さがaの正多角形の面積S


\displaystyle S=\frac{na^{2}}{4\tan\left(\frac{\pi}{n}\right)}


で表されるので, これまでの計算で得られたものから


\displaystyle \frac{1}{2}\cdot\frac{k}{2}\cdot\frac{k}{2}\cdot\sin\left(\frac{2\pi}{n}\right)+\frac{1}{2}\cdot\frac{k}{2}\cdot\frac{k}{2}\cdot\sin\left(\frac{2\pi}{n}\right)\cdot\left(\frac{1}{2}\left(1+\cos\left(\frac{2\pi}{n}\right)\right)\right)+\frac{1}{2}\cdot\frac{k}{2}\cdot\frac{k}{2}\cdot\sin\left(\frac{2\pi}{n}\right)\cdot\left(\frac{1}{2}\left(1+\cos\left(\frac{2\pi}{n}\right)\right)\right)^{2}+\cdots=\frac{1}{n}\frac{nk^{2}}{4\tan\left(\frac{\pi}{n}\right)}


を得られます. この式の両辺を\displaystyle \frac{1}{2}\cdot\frac{k}{2}\cdot\frac{k}{2}\cdot\sin\left(\frac{2\pi}{n}\right)で割ると,


\displaystyle 1+\left(\frac{1}{2}\left(1+\cos\left(\frac{2\pi}{n}\right)\right)\right)+\left(\frac{1}{2}\left(1+\cos\left(\frac{2\pi}{n}\right)\right)\right)^{2}+\left(\frac{1}{2}\left(1+\cos\left(\frac{2\pi}{n}\right)\right)\right)^{3}+\cdots=\frac{2}{\tan\left(\frac{\pi}{n}\right)\sin\left(\frac{2\pi}{n}\right)}


つまり,


\displaystyle \sum_{k=0}^{\infty}\left(\frac{1}{2}+\frac{1}{2}\cos\left(\frac{2\pi}{n}\right)\right)^{k}=\frac{2}{\tan\left(\frac{\pi}{n}\right)\sin\left(\frac{2\pi}{n}\right)}  \Box






これを考えている時間はとても幸せでした. 素敵な数学との出会いに感謝.






無限級数に関する式を見つけるのはこれで二度目です. この式も大切にしていきたいと思います. (画像の問いにも挑戦してみてください!)

写像の合成に関する結合律に対する個人的な解釈とメモ

 合成写像 
 f:A\longrightarrow B, g:B\longrightarrow Cなる2つの写像が与えられた時, その合成写像g\circ f:A\longrightarrow C
 \forall a\in Aに対して,
\begin{align}
\left(g\circ f\right)\left(a\right)=g\left(f\left(a\right)\right)
\end{align}
 となる写像として定義する.





 写像の合成に関する結合律
 f:A\longrightarrow B, g:B\longrightarrow C, h:C\longrightarrow Dに対して,
\begin{align}
(h\circ g)\circ f=h\circ(g\circ f)
\end{align}
 が成り立つ.

(Proof)
\forall a\in Aに対して
\begin{align}
\left(h\circ g\right)\circ f\left(a\right)=h\circ\left(g\circ f\right)\left(a\right)
\end{align}
となることを示せば良い.
\begin{align}
\left(\left(h\circ g\right)\circ f\right)(a)&=\left(h\circ g\right)\left(f\left(a\right)\right)\\
&=h\left(g\left(f\left(a\right)\right)\right)\\
&=h\left(\left(g\circ f\right)\left(a\right)\right)\\
&=\left(h\circ \left(g\circ f\right)\right)\left(a\right)
\end{align}
\Box
1行目→h\circ g写像なのだから, 合成写像の定義より従う
2行目→1行目と同じ
3行目→g\left(f\left(a\right)\right)より従う(定義)
4行目→g\circ f写像なのだから, 合成写像の定義より従う





ありゃ?(・ω・`)

セイキセキ

この記事はたけのこ赤軍さんのo-v-e-r-h-e-a-t.hatenablog.comと合わせて読むことをオススメします.
また, 今回私はこの記事を書く際に, 黒川信重・栗原将人・斎藤毅(2005)『数論II 岩澤理論と保型形式』岩波オンデマンドブックス.
を参考にしました.
有限数列の1つの例として数列a(1, 2, 3, 4,..., n)について考えてみましょう.
この数列を1からnまで掛け合わせます.
\displaystyle\prod_{k=1}^{n}a_kということですね.
このように項の数が有限であれば数列の総乗は1つの値に収束することはお分かり頂けると思います.
では無限数列はどうでしょうか?
これはほとんどの場合発散します.
今回のタイトルにもなっている「正規積」を考えることによってこうした発散する数列に対して意味のある値を見出すことができます.

 正規積 数列a_nに対してその\zeta\displaystyle\zeta_a(s)=\sum_{n\in\mathbb{N}}\frac{1}{a_n^{s}}として, a_n正規積(normalized product)

                \displaystyle\prod_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}a_n=\exp(-\zeta_a'(0))

     と定義される.


\displaystyle\zeta_a'(0)微分してから0を代入することを表しています.
上で\displaystyle\prodを使用していますが, 正規積の本来の記号は下もくっついています. ギリシャ数字2に近いです.
さらっと\zetaを定め, そのまま正規積を定義しましたが本当は\zetas=0の近傍で正則な関数に解析接続できている時に正規積が定義されます.
今回はこの議論については扱いません.
これに有限数列a(a_1, a_2, a_3, ..., a_N)を当てはめてみましょう.
\displaystyle\zeta_a(s)=\sum_{n=1}^{N}\frac{1}{a_n^{s}}より,
\begin{align}
\zeta_a'(s)&=\frac{d}{ds}\sum_{n=1}^{N}\frac{1}{a_n^{s}}\\
&=\frac{d}{ds}\sum_{n=1}^{N}\left(\frac{1}{a_n}\right)^{s}\\
&=\sum_{n=1}^{N}\left(\frac{1}{a_n}\right)^{s}\log\frac{1}{a_n}\\
&=\left(\frac{1}{a_n}\right)^{s}\sum_{n=1}^{N}\log1-\log a_n\\
&=-\left(\frac{1}{a_n}\right)^{s}\sum_{n=1}^{N}\log a_n\\
&=-\left(\frac{1}{a_n}\right)^{s}\log\left(\prod_{n=1}^{N}a_n\right)(総乗記号です)
\end{align}
計算がややこしいなと感じたので少ししつこいですが丁寧に書きました. (悩みました)
さて0を代入しましょう.
すると
\begin{align}
\zeta_a'(0)=-\log\prod_{n=1}^{N}a_n
\end{align}
ということがわかりますね.(総乗記号です)
ですから
\begin{align}
\exp\left(-\zeta_a'(0)\right)=\prod_{n=1}^{N}a_n
\end{align}となるわけです.(総乗記号です)
これは通常の総乗と変わりません.正規積のアイディアは, 有限数列においては総乗になるというところから来ています.
Hurwitz\zeta関数の定義を確認しておきましょう.


 
 Hurwitz\zeta関数
                \displaystyle\zeta(s, x)=\sum_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}(n+x)^{-s}


正規積に関する公式の1つに、Lerchの公式というものがあります.


 
 Lerchの公式
                \displaystyle\prod_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}(n+x)=\frac{\sqrt{2\pi}}{\Gamma(x)}(総乗記号は正規積記号を表す.)


美しいですね...(恍惚)
上のHurwitz\zetaの定義を元に考えると, Lerchの公式は
\displaystyle-\frac{\partial}{\partial s}\zeta(0, x)=\log\frac{\sqrt{2\pi}}{\Gamma(x)}より
\begin{align}
\frac{\partial}{\partial s}\zeta(0, x)&=-\log\frac{\sqrt{2\pi}}{\Gamma(x)}\\
&=-(\log\sqrt{2\pi}-\log\Gamma(x))\\
&=\log\Gamma(x)-\log\sqrt{2\pi}\\
&=\log\frac{\Gamma(x)}{\sqrt{2\pi}}
\end{align}
ということを表しているんですね.
公式を証明していきましょう.


(Proof)
\displaystyle f(x)=\frac{\partial}{\partial s}\zeta(0, x)-\log\Gamma(x)とおいて
\displaystyle f(x)=-\frac{1}{2}\log(2\pi)となることを次の順番で示します.


1.f''(x)=0を確認します. これからf(x)=ax+bと書けることがわかりますね.
(f(x)=ax+b, f'(x)=a, f''(x)=0ということです.)


2.f(x+1)=f(x)ということを確認します. このことからこの関数は傾きがない定数関数であるということがわかりますね.


3.\displaystyle f\left(\frac{1}{2}\right)=-\frac{1}{2}\log(2\pi)ということを確認します. ステップ2でこの関数は定数関数であることを示すので\displaystyle  f(x)=-\frac{1}{2}\log(2\pi)ということがわかりますね.


では早速1から証明していきましょう.
\displaystyle f''(x)=\frac{\partial^{3}}{\partial x^{2}\partial s}\zeta(0, x)-\frac{d^{2}}{dx^{2}}\log\Gamma(x)となりますね.\displaystyle\left(\frac{\partial}{\partial s}はf(x)に含まれていることに注意\right)
まず\displaystyle\zeta(s, x)=\sum_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}(n+x)^{-s}から
\begin{align}
\frac{\partial}{\partial x}\zeta(s, x)&=\sum_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}-s(n+x)^{-s-1}\\
\frac{\partial^{2}}{\partial x^{2}}\zeta(s, x)&=\sum_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}s(s+1)(n+x)^{-s-2}
\end{align}
となることがわかりますね.
\displaystyle\left(f(x)g(x)\right)'=f'(x)g(x)+f(x)g(x)', \frac{d}{dx}a^{x}=a^{x}\log aであることを踏まえsで微分します.
\begin{align}
\frac{\partial^{3}}{\partial x^{2}\partial s}\zeta(s, x)&=s(s+1)\left(\sum_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}(n+x)^{-s-2}\right)'+\left(s(s+1)\right)'\left(\sum_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}(n+x)^{-s-2}\right)\\
&=s(s+1)\left(\sum_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}(n+x)^{-s-2}\log\left(\frac{1}{n+x}\right)\right)+(2s+1)\left(\sum_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}(n+x)^{-s-2}\right)
\end{align}
今求めたいのは\displaystyle\frac{\partial^{3}}{\partial x^{2}\partial s}\zeta(0, x)なので上の式のs0を代入します.
すると\displaystyle\frac{\partial^{3}}{\partial x^{2}\partial s}\zeta(0, x)=\sum_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}(n+x)^{-2}となりますね. とても綺麗になりました.


次に\displaystyle-\frac{d^{2}}{dx^{2}}\log\Gamma(x)の値を求めていきましょう.
Weierstrassによる\Gamma関数の乗積表示
\begin{align}
\frac{1}{\Gamma(x)}=xe^{\gamma x}\prod_{n\in\mathbb{N}}\left(1+\frac{x}{n}\right)e^{-\frac{x}{n}}
\end{align}
の両辺の対数を取ると
\begin{align}
\displaystyle -\log\Gamma(x)=\log x+\gamma x+\sum_{n\in\mathbb{N}}\left(\log\left(1+\frac{x}{n}\right)-\frac{x}{n}\right)
\end{align}
となりますね.
これを微分していくと
\begin{align}
(-1)\frac{d}{dx}\log\Gamma(x)&=\frac{1}{x}+\gamma+\sum_{n\in\mathbb{N}}\frac{n}{n+x}-\frac{1}{n}\\
(-1)\frac{d^{2}}{dx^{2}}\log\Gamma(x)&=-\frac{1}{x^{2}}-\sum_{n\in\mathbb{N}}\frac{1}{(n+x)^{2}}\\
&=-\sum_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}\frac{1}{(n+x)^{2}}
\end{align}
(alignとの兼ね合いで-1と書きました. はてなのalign, いろんなコマンドと相性が悪いから運営さん何とかして欲しい)
となります. \displaystyle\left(\sumの範囲が変わっていることに注意!\right)
これよりf''(x)=0となることが示されましたね.


次に2の証明をしていきます.

\begin{align}
\zeta(s, x+1)&=\sum_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}\bigl(n+(x+1)\bigr)^{-s}\\
&=\sum_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}\bigl((n+1)+x\bigr)^{-s}\\
&=\zeta(s, x)-x^{-s}
\end{align}となるので,

\begin{align}
\frac{\partial}{\partial s}\zeta(0, x+1)=\frac{\partial}{\partial s}\zeta(0, x)+\log x
\end{align}
が得られます.①

ここで\Gamma 関数における重要な性質, \displaystyle\Gamma(x+1)=x\Gamma(x)をもとにこれの対数を取ると,
\begin{align}
\log \Gamma(x+1)=\log x+\log\Gamma(x)
\end{align}
となりますね.②
①, ②を\displaystyle f(x+1)=\frac{\partial}{\partial s}\zeta(0, x+1)-\log\Gamma(x+1)に代入すると,
\begin{align}
f(x+1)&=\frac{\partial}{\partial s}\zeta(0, x+1)-\log\Gamma(x+1)\\
&=\frac{\partial}{\partial s}\zeta(0, x)+\log x-\left(\log x+\log\Gamma(x)\right)\\
&=\frac{\partial}{\partial s}\zeta(0, x)-\log\Gamma(x)
\end{align}
よって, \displaystyle f(x+1)=f(x)

次に3を示します. いよいよラストです.
\begin{align}
f\left(x\right)=\frac{\partial}{\partial s}\zeta\left(0, \frac{1}{2}\right)-\log\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)
\end{align}
を計算します.
\begin{align}
\zeta\left(s, \frac{1}{2}\right)&=\sum_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}\left(n+\frac{1}{2}\right)^{-s}\\
&=2^{s}\sum_{n\in\mathbb{Z}_{\geq0}}\left(2n+1\right)^{-s}\\
&=\left(2^{s}-1\right)\zeta(s)
\end{align}
だから
\begin{align}
\frac{s}{\partial s}\left(s, \frac{1}{2}\right)&=\left(\log 2\right)\zeta\left(0\right)\\
&=-\frac{1}{2}\log2
\end{align}
が得られ, これと
\begin{align}
\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)=\sqrt{\pi}
\end{align}
であることを合わせると,
\begin{align}
f\left(\frac{1}{2}\right)=-\frac{1}{2}\log(2\pi)
\end{align}
が得られ, Lerchの公式が証明されました. \Box


計算の1つ1つがとても楽しかったです.



おまけ
Weierstrassによる\Gamma関数の乗積表示の証明を書いておきます.\displaystyle\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)=\sqrt{\pi}の証明も載せたかったのですが, 今回の話とは関係のないところまで入ってしまい長くなりすぎるのでやめておきます.ごめんなさいm(_ _)m.
drive.google.com
こちらのpdfに詳しく書かれています.



 Weierstrassによる\Gamma関数の乗積表示
               \displaystyle\frac{1}{\Gamma(x)}=xe^{\gamma x}\prod_{n\in\mathbb{N}}\Bigl(1+\frac{x}{n}\Bigr)e^{-\frac{x}{n}}
    (ただし\gamma\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left(1+2+3+…+n-\log n\right)で定義されるEuler定数である)


 (Proof)
\begin{align}
G_{n}(z)&=\int_{0}^{n}t^{z-1}\left(1-\frac{t}{n}\right)^{n}dt
\end{align}
 とすると, 明らかに
\begin{align}
\lim_{n \to \infty}G_{n}(z)=\Gamma(z)
\end{align}
 です. ここでt=nuと置換すると, 積分範囲が[0, n]から[0, 1]になり, dt=nduだから,
\begin{align}
G_{n}(z)=n^{z}\int_{0}^{1}u^{z-1}(1-u)^{n}du
\end{align}
 となります. n^{z}を除く部分をg_{n}(z)とすると, 部分積分により
\begin{align}
g_{n}(z)&=\int_{0}^{1}u^{z-1}(1-u)^{n}du\\
&=\left[(1-u)^{n}\frac{u^{z}}{z}\right]_{0}^{1}-\int_{0}^{1}(-1)n(1-u)^{n-1}\frac{u^{z}}{z}du\\
&=\frac{n}{z}\int_{0}^{1}(1-u)^{n-1}u^{z}du\\
&=\frac{n}{z}g_{n-1}(z+1)
\end{align}
 がn\geq1において成立し, k=0においては
\begin{align}
g_{0}(z)&=\int_{0}^{1}u^{z-1}du\\
&=\frac{1}{z}
\end{align}
 だから, 帰納法により 
\begin{align}
g_{n}(z)=n!\prod_{k=0}^{n}\frac{1}{k+z}
\end{align}
 となるから,
\begin{align}
\lim_{n \to \infty}n^{z}n!\prod_{k=0}^{n}\frac{1}{k+z}=\Gamma(z)
\end{align}
 の成立がわかります. これより,
\begin{align}
\frac{1}{\Gamma(z)}&=\lim_{n \to \infty}\frac{1}{n^{z}n!}\prod_{k=0}^{n}k+z\\
&=\lim_{n \to \infty}zn^{-z}\prod_{k=1}^{n}\frac{k+z}{k}\\
&=\lim_{n \to \infty}zn^{-z}\prod_{k=1}^{n}\left(1+\frac{z}{k}\right )e^{\frac{z}{k}-\frac{z}{k}}\\
&=\lim_{n \to \infty}zn^{-z}\left(\prod_{l=1}^{n}e^{\frac{z}{l}}\right)\left(\prod_{k=1}^{n}\left(1+\frac{z}{k}\right)e^{-\frac{z}{k}}\right)
\end{align}
 となるが,
\begin{align}
n^{-z}\prod_{l=1}^{n}e^{\frac{z}{l}}&=e^{-z\log n}e^{\frac{s}{1}+\frac{s}{2}+\cdots+\frac{s}{n}}\\
&=e^{z\left(\frac{1}{1}+\frac{1}{2}+\cdots+\frac{1}{n}-\log n\right)}
\end{align}
 であるから
\begin{align}
\lim_{n \to \infty}n^{-z}\prod_{l=1}^{n}e^{\frac{z}{l}}=e^{\gamma z}
\end{align}
 よって題意は満たされました.\Box

ある美しい式

こんにちは. お久しぶりです. 今日は最近知った美しい式について書きたいと思います.

\triangle{ABC}において,\vec{AB}\cdot\vec{BC}=p,\vec{BC}\cdot\vec{CA}=q,\vec{CA}\cdot\vec{AB}=r とするとき, この三角形の
面積S \displaystyle S=\frac{1}{2}\sqrt{pq+qr+rp}と表される.
対称性を持った非常に美しい式ですよね. 初めて見たときは本当に感動しました.
美しさに浸りつつ証明を書いていこうと思います.
(Proof)
ベクトルの内積の定義
\displaystyle\vec{a}\cdot\vec{b}=|\vec{a}|\cdot|\vec{b}|\cdot\cos\theta
を今回の三角形において考えると
\displaystyle\vec{AB}\cdot\vec{BC}=|\vec{AB}|\cdot|\vec{BC}|\cdot\cos\theta
で,
\displaystyle\cos\theta=\frac{\vec{AB}\cdot\vec{BC}}{|\vec{AB}|\cdot|\vec{BC}|}
だから, 三角比の関係性より
\displaystyle\sin\theta=\sqrt{1-\left(\frac{\vec{AB}\cdot\vec{BC}}{|\vec{AB}|\cdot|\vec{BC}|}\right)^{2}}
となり, 三角比と三角形の面積の関係式にこれを代入すると,
\displaystyle S=\frac{1}{2}\sqrt{|\vec{AB}|^{2}|\vec{BC}|^{2}-\left(\vec{AB}\cdot\vec{BC}\right)^{2}}
が得られる.
ここで|\vec{AB}|^{2}について考えると,
\begin{align}
\vec{AB}^{2}&=\vec{AB}\cdot\vec{AB}\\
&=\vec{AB}\cdot\left(\vec{BC}+\vec{CA}\right)\\
&=\vec{AB}\cdot\vec{BC}+\vec{AB}\cdot\vec{CA}\\
&=p+r
\end{align}
(ベクトルの大きさを表す記号とalignの相性が悪いので記号の方を外させていただきました. )
同じことを|\vec{BC}|^{2}についても考えると|\vec{BC}|^{2}=q+pで, また, \vec{AB}\cdot\vec{BC}=pであり, これらを先の式に代入すると,
\begin{align}
S&=\frac{1}{2}\sqrt{\left(p+r\right)\left(q+p\right)-p^{2}}\\
&=\frac{1}{2}\sqrt{pq+rq+rp}
\end{align}\Box

三角形の面積に関する式には美しい形をしたものが本当に多い.(友人談)

前回の答えと解説

こんにちは。

前回の投稿からだいぶ時間が空いてしまいましたね。

今回は前回出題した問題の解説をしていきたいと思います。

enjoymathematics.hatenablog.jp

ちなみに現代文と古典は爆死しました。ついでに生物も。生物は本当に難しいと思います。

さて問題を確認しましょう。

 問題.次の式の値を求めなさい。

    \displaystyle\frac{e^{z}-e^{-z}}{z}\Bigl(\sum_{m=0}^{\infty}\frac{B_{2m}}{(2m)!}(2z)^{2m}\Bigr)\Bigl(\sum_{m=0}^{\infty}\frac{E_{2m}}{(2m)!}z^{2m}\Bigr)

    ただしB_mはBernoulli数、E_mはEuler数である。

でしたね。

早速解説していきます。

まずBernoulli数がどのようなものか確認しましょう。

 定義.Bernoulli数

   Bernoulli数B_mはべき級数

   \displaystyle\frac{z}{e^{z}-1}=\sum_{m=0}^{\infty}B_m\frac{z^{m}}{m!}, (|z|<2\pi)を母関数として

   \displaystyle\frac{z^{m}}{m!}の係数として求められる。

Bernoulli数はm1を除く奇数の場合は0になります。

(証明)

定義式からm=1の場合の項\displaystyle-\frac{z}{2}を引くと、左辺は

\displaystyle\frac{z}{e^{z}-1}-\bigl(-\frac{z}{2}\bigr)=\frac{2z+z(e^{z}-1)}{2(e^{z}-1)}=\frac{z}{2}\frac{e^{z}+1}{e^{z}-1}となりますね。

このz-zを代入して式変形していきます。

\displaystyle-\frac{z}{2}\frac{e^{-z}+1}{e^{-z}-1}

分母と分子にe^{z}を乗じます。

\displaystyle-\frac{z}{2}\frac{e^{-z}+1}{e^{-z}-1}=-\frac{z}{2}\frac{e^{z}+1}{-e^{z}+1}=\frac{z}{2}\frac{e^{z}+1}{e^{z}-1}となり、

この式が偶関数であることがわかります。

これより、母関数の右辺は

\displaystyle B_{0}+B_{2}\frac{z^{2}}{2!}+B_{3}\frac{z^{3}}{3!}+B_{4}\frac{z^{4}}{4!}+…となりますが、

この式が偶関数であることから、mが奇数のBernoulli数B_mB_1を除いて0となることがわかります。(Q.E.D)

このことからBernoulli数は以下のように表すことができます。

\displaystyle\frac{z}{2}\frac{e^{z}+1}{e^{z}-1}=\sum_{m=0}^{\infty}\frac{B_{2m}}{(2m)!}z^{2m}

この式においてz=2zとおくと

\displaystyle z\frac{e^{z}+e^{-z}}{e^{z}-e^{-z}}=\sum_{m=0}^{\infty}\frac{B_{2m}}{(2m)!}(2z)^{2m}

というように表せますね。       ①

次にEuler数について見ていきましょう。

 定義.Euler数

   Euler数E_mはべき級数

   \displaystyle\frac{2e^{z}}{e^{2z}+1}=\sum_{m=0}^{\infty}E_m\frac{z^{m}}{m!}, (|z|<\frac{\pi}{2})を母関数として

   \displaystyle\frac{z^{m}}{m!}の係数として求められる。

Euler数E_mは、mが奇数の時は0になります。

従って、mが偶数の時のみを考えればEuler数は

\displaystyle\frac{2e^{z}}{e^{2z}+1}=\sum_{m=0}^{\infty}\frac{E_{2m}}{(2m)!}z^{2m}

もしくは

\displaystyle\frac{2}{e^{z}+e^{-z}}=\sum_{m=0}^{\infty}\frac{E_{2m}}{(2m)!}z^{2m}

と表せますね。       ②

②の式の分母\displaystyle e^{z}+e^{-z}を移項します。

\displaystyle 2= (e^{z}+e^{-z})\sum_{m=0}^{\infty}\frac{E_{2m}}{(2m)!}z^{2m}       ③

①の式を整理します。

\displaystyle e^{z}+e^{-z}=\frac{e^{z}-e^{-z}}{z}\sum_{m=0}^{\infty}\frac{B_{2m}}{(2m)!}(2z)^{2m}

この式を③に代入すると

\displaystyle\frac{e^{z}-e^{-z}}{z}\Bigl(\sum_{m=0}^{\infty}\frac{B_{2m}}{(2m)!}(2z)^{2m}\Bigr)\Bigl(\sum_{m=0}^{\infty}\frac{E_{2m}}{(2m)!}z^{2m}\Bigr)=2

となります。

答えは2です。

※参考文献    若原龍彦(2017)『美しい無限級数 ゼータ関数L関数をめぐる数学』プレアデス出版.



一見複雑な式からシンプルな値が導かれた時はなんとも言えない気持ちになります

円と球について

いきなりですが問題です。

①円の半径をr, 面積をSとするときS=\pi r^{2}になることを示しなさい。

②半径rの球の体積V\displaystyle\frac{4}{3}\pi r^{3}と表されることを示しなさい。

急に書きたくなったんですよね。球だけに。

では早速証明していきましょう。

(証明①)

小学校の時に「円をいくつかに分割して敷き詰めれば平行四辺形と解釈できますよね!」みたいな感じで習うこの公式。

厳密さに欠けるなぁ…とずっと思っていました。

あれから数年。私は積分という道具を手に入れました。

前置きが長くなってしまいましたね。それでは積分を使って証明していきましょう!



座標平面上の半径rの円はx^{2}+y^{2}=r^{2}という式で表されますね。(1)

(1)の式を変形します。

y=\sqrt {r^{2}-x^{2}}

rから-rの範囲で積分します。

\displaystyle S=2\int_{-r}^{r}\sqrt{r^{2}-x^{2}}dxとなりますね。(2)

ここでx=r sin\thetaと置換します。(3)

(3)の両辺を\theta微分します。

\displaystyle\frac{dx}{d\theta}=r cos\theta.(4)

(4)の両辺にd\thetaをかけます。

dx=r cos\theta d\theta.(5)

次に積分範囲を変更しちゃいましょう。

r=r sin\theta

sin\theta=1

\displaystyle\theta=\frac{\pi}{2}より上限が\displaystyle\frac{\pi}{2}であること、

-r=r sin\theta

sin\theta=-1

\displaystyle\theta=-\frac{\pi}{2}より下限が\displaystyle-\frac{\pi}{2}であることがわかりますね。(6)

(2)に(5)と(6)を反映させます。

すると\displaystyle S=2\int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{r^{2}-r^{2}sin^{2}\theta}r cos\theta d\thetaとなりますね。

計算していきます。

\displaystyle S=2\int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{r^{2}-r^{2}sin^{2}\theta}r cos\theta d\theta

\displaystyle=2\int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{r^{2}(1-sin^{2}\theta)}r cos\theta d\theta

\displaystyle=2\int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}r\sqrt{1-sin^{2}\theta}r cos\theta d\theta

\displaystyle=2r^{2}\int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}cos^{2}\theta d\theta

\displaystyle=2r^{2}\int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}\frac{1+cos2\theta}{2}d\theta

\displaystyle=2r^{2}\Biggl[\frac{1}{2}\theta+\frac{1}{4}sin2\theta\Biggr]_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}

\displaystyle=2r^{2}(\frac{1}{2}\pi)

\displaystyle=\pi r^{2} (証明終了)

(証明②) 

座標平面上の半径rの円はx^{2}+y^{2}=r^{2}という式で表されますね。(1)

(1)の式を変形します。

y^{2}=r^{2}-x^{2}

rから-rの範囲で積分します。

\displaystyle V=\pi\int_{-r}^{r}(r^{2}-x^{2})dxとなりますね。

計算していきます。

\displaystyle V=\pi\int_{-r}^{r}(r^{2}-x^{2})dx

\displaystyle=\pi\Biggl[r^{2}x-\frac{1}{3}x^{3}\Biggr]_{-r}^{r}

\displaystyle=\pi(\frac{4}{3}r^{3})

\displaystyle=\frac{4}{3}\pi r^{3}(証明終了)



いくつかの前提知識を仮定していますがそれらも追加でこの記事内で紹介する予定です。




円の面積の公式の方が難しいですよね。ちなみに球の表面積は理解できていないので今回取り上げていません。いつか解説したいです。