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前回の答えと解説

こんにちは。

前回の投稿からだいぶ時間が空いてしまいましたね。

今回は前回出題した問題の解説をしていきたいと思います。

enjoymathematics.hatenablog.jp

ちなみに現代文と古典は爆死しました。ついでに生物も。生物は本当に難しいと思います。

さて問題を確認しましょう。

 問題.次の式の値を求めなさい。

    \displaystyle\frac{e^{z}-e^{-z}}{z}\Bigl(\sum_{m=0}^{\infty}\frac{B_{2m}}{(2m)!}(2z)^{2m}\Bigr)\Bigl(\sum_{m=0}^{\infty}\frac{E_{2m}}{(2m)!}z^{2m}\Bigr)

    ただしB_mはBernoulli数、E_mはEuler数である。

でしたね。

早速解説していきます。

まずBernoulli数がどのようなものか確認しましょう。

 定義.Bernoulli数

   Bernoulli数B_mはべき級数

   \displaystyle\frac{z}{e^{z}-1}=\sum_{m=0}^{\infty}B_m\frac{z^{m}}{m!}, (|z|<2\pi)を母関数として

   \displaystyle\frac{z^{m}}{m!}の係数として求められる。

Bernoulli数はm1を除く奇数の場合は0になります。

(証明)

定義式からm=1の場合の項\displaystyle-\frac{z}{2}を引くと、左辺は

\displaystyle\frac{z}{e^{z}-1}-\bigl(-\frac{z}{2}\bigr)=\frac{2z+z(e^{z}-1)}{2(e^{z}-1)}=\frac{z}{2}\frac{e^{z}+1}{e^{z}-1}となりますね。

このz-zを代入して式変形していきます。

\displaystyle-\frac{z}{2}\frac{e^{-z}+1}{e^{-z}-1}

分母と分子にe^{z}を乗じます。

\displaystyle-\frac{z}{2}\frac{e^{-z}+1}{e^{-z}-1}=-\frac{z}{2}\frac{e^{z}+1}{-e^{z}+1}=\frac{z}{2}\frac{e^{z}+1}{e^{z}-1}となり、

この式が偶関数であることがわかります。

これより、母関数の右辺は

\displaystyle B_{0}+B_{2}\frac{z^{2}}{2!}+B_{3}\frac{z^{3}}{3!}+B_{4}\frac{z^{4}}{4!}+…となりますが、

この式が偶関数であることから、mが奇数のBernoulli数B_mB_1を除いて0となることがわかります。(Q.E.D)

このことからBernoulli数は以下のように表すことができます。

\displaystyle\frac{z}{2}\frac{e^{z}+1}{e^{z}-1}=\sum_{m=0}^{\infty}\frac{B_{2m}}{(2m)!}z^{2m}

この式においてz=2zとおくと

\displaystyle z\frac{e^{z}+e^{-z}}{e^{z}-e^{-z}}=\sum_{m=0}^{\infty}\frac{B_{2m}}{(2m)!}(2z)^{2m}

というように表せますね。       ①

次にEuler数について見ていきましょう。

 定義.Euler数

   Euler数E_mはべき級数

   \displaystyle\frac{2e^{z}}{e^{2z}+1}=\sum_{m=0}^{\infty}E_m\frac{z^{m}}{m!}, (|z|<\frac{\pi}{2})を母関数として

   \displaystyle\frac{z^{m}}{m!}の係数として求められる。

Euler数E_mは、mが奇数の時は0になります。

従って、mが偶数の時のみを考えればEuler数は

\displaystyle\frac{2e^{z}}{e^{2z}+1}=\sum_{m=0}^{\infty}\frac{E_{2m}}{(2m)!}z^{2m}

もしくは

\displaystyle\frac{2}{e^{z}+e^{-z}}=\sum_{m=0}^{\infty}\frac{E_{2m}}{(2m)!}z^{2m}

と表せますね。       ②

②の式の分母\displaystyle e^{z}+e^{-z}を移項します。

\displaystyle 2= (e^{z}+e^{-z})\sum_{m=0}^{\infty}\frac{E_{2m}}{(2m)!}z^{2m}       ③

①の式を整理します。

\displaystyle e^{z}+e^{-z}=\frac{e^{z}-e^{-z}}{z}\sum_{m=0}^{\infty}\frac{B_{2m}}{(2m)!}(2z)^{2m}

この式を③に代入すると

\displaystyle\frac{e^{z}-e^{-z}}{z}\Bigl(\sum_{m=0}^{\infty}\frac{B_{2m}}{(2m)!}(2z)^{2m}\Bigr)\Bigl(\sum_{m=0}^{\infty}\frac{E_{2m}}{(2m)!}z^{2m}\Bigr)=2

となります。

答えは2です。

※参考文献    若原龍彦(2017)『美しい無限級数 ゼータ関数L関数をめぐる数学』プレアデス出版.



一見複雑な式からシンプルな値が導かれた時はなんとも言えない気持ちになります